このシリーズでは、前回#1で小林製薬を取り上げました。オアシスが「企業不祥事のガバナンスを問う」案件でした。
今回の花王は少し違います。不祥事ではなく**「長期にわたる低迷」**を狙った案件です。
花王とはどんな企業か
花王といえば「アタック」「メリット」「ビオレ」。日本の家庭に欠かせないブランドを持つ大手消費財メーカーです。
ただ、株価は長期低迷が続いていました。2021年に8,000円台をつけた後、2024年末には5,000円台まで下落。PBR(株価純資産倍率)は長年1倍を割ることもありました。
背景には、国内市場の飽和とグローバル展開の遅れがあります。同じ消費財大手のP&GやユニリーバがDX・グローバル戦略で成長を続ける中、花王は「国内に強く、海外に弱い」という構図が続いていました。
報告書が提出された日
2024年12月10日、オアシス・マネジメントが関東財務局に花王の大量保有報告書を提出しました。保有割合5.23%、保有株数24,347,342株、取得資金は約1,490億円。
報告書にはこう書いてありました。
保有目的: ポートフォリオ投資および重要提案行為。 重要提案行為等: 株主価値を守るため、重要提案行為を行うことがある。
ただ、この報告書が「突然」だったわけではありません。 2024年4月3日、オアシスは「より強い花王」と題した 声明を公表し、花王株を保有していることを明らかにした上で、 マーケティングの改善を要請していました。 12月の報告書はその延長線上にあります。(出典:[Oasis Statement on “A Better Kao”])
オアシスは何を求めたか
オアシスは花王の経営について、グローバル展開の遅れや マーケティング力の不足を指摘。2025年2月には 5名の社外取締役候補を株主提案として提出しました。 「グローバルで戦える人材を取締役会に入れろ」という要求です。
(出典:Business Wire)
株主総会の結果
2025年3月21日の定時株主総会で、オアシスが提案した 4つの議案はいずれも賛成が3割未満にとどまりました。 花王が推薦した取締役・監査役の選任議案は いずれも9割ほどの賛成を得ました。 (出典:[花王 議決権行使の集計結果(臨時報告書)])
総会では負けました。でもオアシスはまだ保有を続けています。
変更報告書の動き
総会で負けた後も変更報告書を出し続けています。この案件はまだ終わっていません。
大量保有報告書が教えてくれたこと
2024年12月10日、5%超の大量保有報告書が提出された時点で、オアシスが本格的なキャンペーンに移行したことがわかりました。
「重要提案行為を行うことがある」という一文を読めば、この後オアシスが株主提案・取締役交代要求へと動いていくことはある程度見えていました。
報告書は「何かが動き始めた」瞬間を教えてくれます。