M
Martify

【アクティビスト・ウィークリー】増えたのは、同じ名前のほうだった

2026年8月8日

月曜の夜、まとめのメールは26件だった。八月に入ったばかりで、静かな週になりそうだと思った。ついこのあいだ、八月はいちばん静かな月だという記事を書いたところでもある。

金曜の夜、同じメールが125件になっていた。

一週間ぶんを並べるとこうなる。

五日で355件。月曜の五倍近いところまで来た。数字だけ見れば、週の後半にかけて相場が動いた、と読みたくなる。

増えた分の中身を開く

木曜の110件を、提出者名で並べ直してみた。野村證券の名前が二十件を超えている。三井住友トラスト・アセットマネジメントが十五件前後。金曜の125件も同じで、野村證券が二十件超、みずほ銀行が十件前後。

保有目的のラベルを見ると、そのほとんどが「在庫・運用」か「政策・取引」だった。証券会社や信託銀行、運用会社が、5%のあたりを出たり入ったりしている行である。木曜と金曜だけで、同じ会社の名前が縦にずらりと積まれていた。

つまり、110件も125件も、110の別々のできごと、125の別々のできごとではない。数えているのは報告書の通数であって、できごとの数ではなかった。

一日ずつ受け取っていると、この重なりは見えにくい。届くのは一件ずつだからだ。件数の欄には合計しか出ないし、その合計は「今日は大きな日だった」の顔をして届く。

星は、五つまでしか出ない

もうひとつ、並べてみて気づいたことがある。

⭐(注目の動き)に載った件数は、月曜5件、火曜3件、水曜5件、木曜5件、金曜5件。全体が26件から125件へ五倍近くになったあいだ、こちらは動いていない。

これは偶然ではなく、そういう設計になっている。全体が21件以上の日は、⭐に載るのは最大5件と決めてある。だから件数が多い日ほど、⭐からこぼれるものが増える。月曜は26件のうちの5件で、金曜は125件のうちの5件だった。同じ5件でも、うしろに控えている数がちがう。

ただし「最大5件」であって「常に5件」ではない。火曜の3件は上限で切られたのではなく、条件を満たす動きが3件しかなかった日である。全体件数は月曜より多い29件なのに、⭐は少ない。件数と、注目すべき動きの数は、そもそも連動していない。

何を⭐に載せるかも決めてある。機関投資家による、戦略目的(重要提案・経営参加・政策)の新規参入か、1ポイント以上の大きな増減。純投資や証券会社の在庫、すでに50%を超えている支配株主の細かい動き、訂正報告は載らない。そのうえで重要提案・経営参加・政策の順に優先し、同じ目的のなかでは保有割合の高い順に、上から五つ。

つまり⭐は「その日いちばん大きな動き五つ」ではない。「決めた条件で並べたときの上位五つ」である。この違いは、ふだんはあまり効かない。効いたのが金曜だった。

同じ銘柄が、星の内と外に割れた

NSユナイテッド海運(9110)に、金曜、一日で四行が並んだ。日本郵船51.03%(▲+32.81)、日本製鉄50.84%(▲+18.04)、内海曳船26.92%(新規)、そして日本郵船がもう一行18.22%(▼-8.48)。

このうち⭐に載ったのは、内海曳船の26.92%の一行だけだった。⭐の欄には5件が並んでいて、残り4件は別の銘柄である。今週いちばん大きな増減である+32.81と+18.04は、同じ銘柄のことなのに、この欄には出ていない。どちらも結果として保有割合が50%を超えたため、支配株主の動きとして除外の側に入ったからである。

money.note.com

除外そのものは理屈が通っている。50%を超えた先の増減は、市場に出回る株にはあまり影響しない。ただ、条件を決めて自動で選ぶということは、その条件から外れる大きなものが必ず出るということでもある。以前、バフェットの動きが⭐に載らなかった回を書いたことがある。あのときと同じことが、規模を変えて起きていた。

足すと147%になる。株は一つ分しかないのに、である。原本を突き合わせると、郵船の18.04%と日鉄の32.80%が両方の報告に重複して現れていた。共同保有では、同じ株が複数の報告に出てくる。だから保有割合は足し算ができない。

さらに、両社とも「最近60日間の取得又は処分の状況」の欄が空だった。一株も動かしていない。増えた32.81%は日本製鉄が共同保有者に加わった分で、増えた18.04%は日本郵船が加わった分である。木曜に書いた日本化学工業の回とまったく同じかたちで、規模だけが桁違いだった。

そして新規で出ていた内海曳船の26.92%は、報告義務の発生日が2007年3月9日と書かれていた。19年前である。割合の分母も当時の発行済株式数のまま、発行者名には旧社名が併記されている。新規というバッジは「はじめて出た」の印であって、「いま起きた」の印ではない。

この四行が、125件のうちの四行として届いた。前後には証券会社の在庫の行が何十本も並んでいる。

数える単位を、間違えないこと

今週わかったことを、読み方として書いておく。

三つとも、月曜の26件の日には気づかない。金曜の125件の日にだけ現れる。だから毎日受け取っていても、週の終わりに一度、横に並べ直す時間がいる。Martifyがやっているのは前半(毎日届ける)までで、後半(並べ直す)はまだ人の手の仕事である。

以前、八月はいちばん静かな月だと書いた。月ごとの平均と中央値で見れば、それは今も変わらない。ただ、平均が静かであることと、一日ずつが静かであることは、別のことだった。今週がそれだった。

大量保有報告書をなるべく早く受け取りたい方は、ぜひMartifyをお試しください。ベータ版のいまは無料です。

大量保有報告書と公開買付(TOB)を、その日のうちにメールでお届けしています。
誰が・どの銘柄を・何%持ったか。原本PDFへワンクリック。
無料ではじめる
翌月末まで無料。続けたい方だけ月額1,280円(税込)。
前日までの提出は日次まとめで全件読めます。

※本記事は情報提供であり、投資勧誘・投資助言ではありません。投資判断はご自身の責任でお願いします。
※記載内容は執筆時点の公開情報にもとづきます。正確な内容はEDINETの原本をご確認ください。
データはEDINET(金融庁)より取得(PDL1.0)

記事一覧Martifyについて日次まとめ
© 2026 合同会社ILOC