木曜の通知が154件で届いた翌日、金曜は27件だった。
同じ週の、二日ちがい。数えまちがいかと思って二度見たけれど、どちらも正しい。開示というのは、こういうふうに波打つものらしい。
今週は月曜が休みだったので、営業日は四日しかない。火曜62件、水曜80件、木曜154件、金曜27件。並べてみると、ずいぶん行儀の悪い折れ線になる。
ただ、件数を眺めていても、たぶん何も見えてこない。数が多い日は上のほうしか読まれないし、少ない日は「今日は静かだったな」で閉じられる。それだけの話になってしまう。
そこで、四日分の通知をならべて、同じ名前が複数の会社に出ているものを拾ってみた。件数の折れ線とは別の絵が出てくるんじゃないかと思ったからだ。
出てきたのは、思っていたより単純な絵だった。
四つの名前が、それぞれ複数の会社にならんでいた
火曜。シティインデックスイレブンスの名前が、ヤマダホールディングス(9831)に5.10%、三菱製紙(3864)に5.03%。どちらも新規で、保有目的のラベルは「重要提案」。同じ日に、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドも多木化学(4025)に5.00%の新規と、倉敷紡績(3106)に4.64%の変更で出ている。

水曜。オアシス・マネジメントの名前が、プラスアルファ・コンサルティング(4071)に16.29%、インフォマート(2492)に6.26%。こちらも二つとも「重要提案」。この日はNIPPON ACTIVE VALUE FUNDも、富士急行(9010)に6.03%、インテージホールディングス(4326)に5.00%で出ていた。

木曜。シティインデックスイレブンスが、今度は日本製紙(3863)に9.78%。三菱製紙に続いて、製紙の二社目になる。オアシス・マネジメントもエス・エム・エス(2175)に19.31%で、二日続けての登場。アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドはアイネス(9742)に9.05%。

金曜。NIPPON ACTIVE VALUE FUNDの名前が、栄研化学(4549)に31.01%、ステラケミファ(4109)に19.13%、文化シヤッター(5930)に18.97%。三つならんで、三つとも「重要提案」で、三つとも減少方向だった。オアシス・マネジメントはニチレイ(2871)に6.07%で、三日連続になる。

数えなおすと、今週ひとつの名前が出た会社の数は、シティインデックスイレブンスが三社、アセット・バリュー・インベスターズ・リミテッドが三社、オアシス・マネジメントが四社、NIPPON ACTIVE VALUE FUNDが五社。件数が62件の日も、154件の日も、27件の日も、そこは変わらなかった。
それで、これをどう読むか
こういう並びを見ると、つい線を引きたくなる。「この会社は今、あちこちに手を広げている」とか、「業界ごと狙われているのではないか」とか。製紙が二社ならんでいれば、なおさらそう読みたくなる。
でも大量保有報告書に書いてあるのは、誰が何%持っているか、それだけだ。二つの行を結ぶ線は、どこにも書かれていない。引いているのは、いつも読み手のほうだ。
前に一度、⭐に同じ名前が二回ならんだ回のことを書いた。そのときは、表示されている提出者名が連名の代表にすぎなくて、実際に動いていたのは別の共同保有者だった、という話だった。名前が同じでも、動いた主体まで同じとは限らない。
なので、同じ名前が複数の銘柄にならんだときに見るところを、今週のぶんで三つに整理しておく。
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**方向がそろっているか。**金曜のNIPPON ACTIVE VALUE FUNDは、三銘柄とも減少方向だった。火曜のシティインデックスイレブンスは二銘柄とも新規。そろっている場合と、ばらけている場合とで、意味あいは変わってくる。ただし「そろっているから何か起きている」と決めつけるところまでは、開示は教えてくれない。
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**その名前は代表名ではないか。**連名で一通出す場合、メールに出てくるのは代表の一社だけになる。表示されている割合も、連名した全員の合計値になっている。誰がどれだけ動かしたのかは、原本の保有者内訳を開かないと分からない。
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ラベルは意図ではない。「重要提案」はEDINETの区分であって、その会社が何を考えているかを書いたものではない。区分は事実、意図は推測。この二つを混ぜないほうがいい。
三つめが、いちばんまちがえやすいと思っている。「重要提案」という四文字は、どうしても物語を呼び込む。
減った、についてもう一言
金曜のNIPPON ACTIVE VALUE FUNDは三つとも減少方向だった、と書いた。ここも、そのまま読まないほうがいい。
保有割合が下がったからといって、売ったとは限らない。割合の分母には発行済株式の総数が入るので、会社側が株を増やせば、こちらが何もしていなくても割合は下がる。担保契約の変更が理由で報告書が出ることもある。
「減った」と「売った」は、ちがう言葉だ。どちらなのかは、原本の保有株数と提出事由を見にいくしかない。Martifyの通知からは、PDFにワンクリックで飛べるようにしてある。
154件の日には、⭐も埋もれる
最後に、最初の折れ線の話に戻る。
木曜の154件の日にも、金曜の27件の日にも、⭐には「重要提案」がならんでいた。数が十倍ちがっても、大きな動きの数まで十倍になるわけではないらしい。
ということは、154件の日の⭐は、153件の他の行にまぎれて読まれにくくなっている、ということでもある。同じ内容なのに、届いた日によって見え方が変わってしまう。
そこを平らにならすのが、たぶんこの通知の役目なんだと思う。件数が多い日は保有割合の高い順にならべて、⭐は別の欄に隔離して、目的ラベルの色を変えて。それでも埋もれるときは埋もれるので、この連載でこうして週ごとに拾いなおしている。
以前、三営業日という時間のずれを扱った回も書いています。あわせて読むと、同じ開示でも見え方が変わるかもしれません。
Martifyは、EDINETの大量保有報告書をメールで届けるサービスです。ベータ版のいまは無料です。